美術館の学芸員は聞こえはいいが地味な仕事。画廊のオーナーは華やかに見えるけど金策が大変。その両面を活かした作品が細野不二彦さんの「ギャラリーフェイク」です。
藤田の扱う商品はひとくちに美術品といっても千差万別。ポピュラーな絵画から骨董品やマニアックなおもちゃまで非常に多岐にわたっています。幅広い商品を扱うからには幅広い知識が必要なわけで、藤田のそれは群を抜いています。世界の美の集積するメトロポリタン美術館でその人在りと噂された実力はそこから来ているのでしょう。詳細な裏付けもあって本当に奥深い才能を秘めたキャラクターです。
彼のパートーナーを務めるのは中東Q国の王族サラ。ゴッホのひまわりを巡る事件で藤田と出会い、そのまま画廊のスタッフに。中年の藤田にはもったいない美少女です。サラは石油会社の大株主で当然お金持ち。庶民には計り知れない金銭感覚で時には藤田を圧巻します。複数のエピソードが進展する中で、サラの恋も進展…。お家事情も絡んで一大ストーリーができあがっていくのです。
お堅い筋からは鼻つまみ者の藤田ですが、その実力はわかる人にはわかっていて、藤田の交友関係は超一流。美人の美術館長三田村女史、国宝Gメンの知念やマフィアの大ボスと実にユニークな面々が揃ってます。美術鑑定で人生をなぞるエピソードも多く、この作品が長期にわたって支持されてきたのも頷けます。娯楽性+感動のバランスがすごくいい。飽きの来ない切り口で読み続けさせてくれる作品でした。
初めての人には「ギャラリーフェイクTHE BEST」がオススメ。作者自らが選定した9作品と書き下ろし1作品が収録されてます。ギャラリーフェイクの世界観がよくわかり、更には藤田とサラのちょっと気になる関係も混じっているお買い得な1冊です。
<作品データ>
【タイトル】ギャラリーフェイク
【作者】細野不二彦
【出版】小学館 ビッグコミックス全32巻→詳細
【物語】ギャラリーフェイクは贋作専門という変わった画廊。しかし、その裏では美術品のブラックマーケットに通じ、表に出ることのない真作を扱っていると噂されている…。真作と贋作が入り交じる美術世界。元メトロポリタン美術館キュレーター(学芸員)という経歴を持つオーナー・藤田玲司が舞い込む事件やトラブルを解き明かしていく!

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