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天は赤い河のほとり

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現代日本を舞台に最初はオカルトっぽく始まりますが、舞台は一転、古代ヒッタイト帝国へ。時は紀元前14世紀、列強がオリエントの覇権を争っているまっただ中です。ヒッタイトでは馴染みがなくてもエジプトのファラオ・ツタンカーメンと同時代といえば想像できるでしょうか。

ユーリは典型的な現代っ子ですから、最初は自分を助けてくれたカイルにも反発します。古代の常識は現代の非常識。しかし、ユーリのワガママで結果として従者の少年ティトを殺されたため、彼女は自らを律するのです。まずはけじめとして、ティトの仇を討つまでは現代に帰らない。それからは分別を持って積極的に行動するようになります。現代人では知っていて当たり前の知識が役に立ち、無鉄砲な行動が戦に勝利をもたらし、ユーリはオリエントの女神イシュタルの化身とあがめられていきます。

同じく古代エジプトを舞台にした「王家の紋章」とかぶる路線ですが、あちらは架空の古代エジプトであるのに対して、「天は赤い河のほとり」は史実に登場する古代ヒッタイトが舞台です。多少の誤差や作者独自の解釈が含まれていますが、概ね史実に沿って時代が流れていきます。史実なのでラストが決まってるし、先読みしようと思えばいくらでもできます。しかし、ヒッタイト帝国最盛期の皇帝ムルシリ2世に関する記述が非常に少ないこともあって、ゴールが見えてもその過程を楽しむことができました。史実と架空の人物をうまく噛み合わせていると思います。

ユーリの台詞でイチオシは、

何いってんの!
身分ってのは、上の者が下の者を守るためにあるんじゃないの!?

です。
現代人だから言える超強気の発言。でも、その言葉を彼女はずっと貫きます。きれいごとでも最後まで貫き通せば本物になることを身を以て実戦してみせました。ひとりの少女の成長物語として読むも良し、時代小説としてエンターティメントに徹するも良し。一気に楽しめる作品です。
 

【タイトル】天(そら)は赤い河のほとり
【作者】篠原千絵
【出版】小学館 フラワーコミックス全28巻、天は赤い河のほとりファンブック
【物語】夕梨(ゆうり)は中3の普通の女の子。ところがある日、水の中から出てきた "手" によって、時空を越え、古代ヒットタイト帝国に連れて来られ、命を狙われるハメに!?運命に翻弄されながらも、カイル皇子(皇帝ムルシリ2世)との愛を一途に貫き、夕梨はユーリ・イシュタル皇妃として生きる道を選ぶが…?

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